黄金のりんご


「そのりんごに触れると命を吸い取られるぞ」


森の中にある大きな木。
 その木になるのは真っ赤なりんご。

それとは別にもうひとつ大きな木。
 その木になるのは黄金のりんご。

ふたつの木は同じ場所に存在していました。
 しかし同じ木ではありません。

正常な気持ちであるものには真っ赤なりんごが目にうつり、
心になにか抱えているものには黄金のりんごが目にうつる。

黄金のりんごは触れたものの心を救う。
周囲からは命を吸い取る行為に見えたのかもしれません。


おひつじ、おうし、ふたご、かに、しし、おとめ、てんびん、さそり、いて、やぎ、みずがめ、うお。


ししはおとめの黄金のりんごを受け取ってしまい、うおはやぎの黄金のりんごに触れてしまいました。

てんびんとみずがめに関しては幸運(?)だったのでしょうか。
心をもたないにせよ、不思議な力が自身を苦しめていたのですから。


不信、孤独、不安、虚無……


あらゆる事柄で心は簡単に壊れてしまいます。
黄金のりんごは救いを与えたかったのです。
広い宇宙から見て感じてほしかったのです。


【決してひとりじゃない】


空には満天の星たちが輝いています。

あなたには今、このりんごが何色に見えますか?