草むらの中にいたのは一頭の❝おうし❞でした。
のんびりと草をたべていたそのおうしの見た目は変わったものでした。
特殊変異というものなのか、
色も白黒ではなくさらに柄もほかの牛とは大きく違っていました。
野生の牛は敵に見つからないようにその柄を身にまとっているのですが、
このおうしはカラフルでどこにいても目をひく存在となっています。
目をひくからこそ、このおうしにあえて近づく者はいません。
毒があるのではないか?
自然界の中でのカラフルは毒を連想させるのでした。
もちろん毒などありません。
ただただ生まれてずっと孤独が当然でした。
「あれ? このりんご、ほかのりんごとは色が違っている。ぼくと一緒だ」
おうしは草むらの中に、輝く黄金のりんごを見つけました。