あるところにひとりの女の子がいました。
その女の子はとても可愛らしい見た目をしていました。
周りは女の子にたくさんの愛を与えました。
しかし女の子はその愛を感じることができませんでした。
愛を感じることができない女の子は、周りに愛を与えることもできません。
可愛い見た目をしていましたが、女の子の笑った顔をみた人は誰もいませんでした。
表情が常に変わらない女の子だったので、
人形の❝おとめ❞と呼ばれるようになっていました。
ある男が、人形のおとめを喜ばせようと森へ誘いました。
森の中をしばらく歩くと、大きなししが歩いているのが見えました。
男はししを見るとひとりで逃げてしまいました。
ししは元気がなく、大きな木の下にぐったりと倒れこんでしまったのでした。
その木を見上げると黄金のりんごがなっていました。
実のひとつがししのそばに落ちてきました。
女の子はそっとししに近づき、黄金のりんごを手に取るとししの前足の上に置きました。